シークレット ハニー~101号室の恋事情~
悪いとは思ったし、行きたいとも思ったけど、もしかしたら大変な事になるかもしれないって考えたから。
私との事だけじゃなく、色んな場面できっと五十嵐さんが自由じゃないのは簡単に予想がついた。
私は五十嵐さんと一緒にいる時くらいしか気を使わないけれど、五十嵐さんは違う。
きっと四六時中何をするにもずっとだ。
「自分で望んで芸能界に入ったんだから、それが後になってどうなるかくらい最初から分かってたし、別にいいとも思ってたんだ。
それなのに実際になると我慢できなかった。
葉月と会わなければ二、三年引きこもれてたんだろうけど」
そう困ったように笑う五十嵐さんを見つめた後、ふぅとため息をついて微笑んで見せる。
「若者が働かないでだらだらしてるなんて不健康だって、よくテレビで言ってますよ。
もうすんだ事を言ってても仕方ないし、しっかり働いて責任とらないと。
五十嵐さんを気にかけて入社までさせてくれた部長の顔に泥を塗るような事できないでしょ」