シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「明日、いつもより早く行った方がいいですよ。私もそうします」
五十嵐さんも分かっているだろうけど、一応そう注意だけする。
それから部屋の鍵を出してドアを開けたところで、私と一緒に立ち止まっている五十嵐さんに気づいた。
五十嵐さんの部屋はひとつ奥なのに。
「うちに寄っても、今日は夕飯の材料ないのでインスタントとかですよ」
身体に悪いですよ、と忠告する私の腕を五十嵐さんが掴んでそのまま部屋に入れる。
そして後ろ手に鍵を閉めた五十嵐さんはジャケットを脱いで玄関先に落とした後、背中を玄関ドアに預けながら、私を抱き締めた。
性急にも思える行動が珍しくて、どうかしましたかと聞くと、別にと答えられた。