シークレット ハニー~101号室の恋事情~
◇覚悟の形
昨日は今日の事なんて頭になかったけど。
もうこれでもかってほど五十嵐さんに酔いしれてしまって、現実を見ている時間なんてなかったけど。
さすがに今日になるとそんな現実逃避ばかりしていられないわけで。
いつもより一時間早く鳴った目覚まし時計を気合いを入れて叩いてから、急いで準備を始める。
朝食とメイクを終えてから鏡の前に立って、自分の頬をパチンと叩いた。
なんかベタだなとは思ったけど、気合いを入れるにはこれが一番手っ取り早い。
今日は、というか、今日からは色んな事との戦いだ。
野田とも、噂とも、好奇の目とも、戦い抜いて勝ってやる。
私がもしも負けてしまったら、五十嵐さんはきっと自分を責めるんだから。
しっかり戦って勝つしかない。
だったら、そもそも最初から言わなければよかったんじゃない?なんて思ってしまう気持ちをぶんぶんと頭を振って振り落した。
そんな事今更思ったって仕方ないんだから。