シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「部長は、五十嵐さんがなんで芸能界を引退したのかを知ってるんですよね?
妹さんとの記事を出されて傷ついたからだって」
「ああ、それはもちろん」
「それを知っていてなんで五十嵐さんにポスターの話なんてしたんですか?
ポスターだなんて、五十嵐さんはもしかしたらトラウマを思い出して嫌な気持ちになるかもしれないとか……。
いえ、すみません。失礼な事言ってしまって……」
思わず熱くなってしまっている自分に気づいて、言った事を取り消して謝る。
この人は五十嵐さんの叔父さんでもあるけれど、私にとっては部長だ。
いくら五十嵐さんと私が恋愛関係にあったとしても、そんなの関係ない。
部長に私情を挟んだ個人的な意見をするなんて、許されることじゃない。
そう思って頭を下げると、部長はすぐに頭を上げるように言う。
言われて少ししてから視線を合わせると、部長はつらそうな微笑みで私を見ていた。