シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「まぁ、篤志がうちの会社のポスターになってくれたら助かるっていうのは念頭にあったけどね」


ポスターだなんてって最初こそ思ったけれど、きちんと五十嵐さんの事を考えての事だったんだ。
愛情を持ちながらも試練を与える、まさにらいおんは我が子を谷底に突き落す、みたいな言葉を思い浮かべてじんときていたっていうのに。

最後に部長がそんな事を言ってははって笑うから、感動が台無しにされる。


「一石二鳥というか、まぁ、双方に得だからね。
篤志だって、自分で少しでも苦労して掴み取った椅子の方が座り心地がいいだろうし」
「でも五十嵐さん、簡単にオーケーを出したんですか?」


本当は断りたかったんじゃないかとか、ためらいが大きかったんじゃないかとか。
心配して聞くと、部長は意外にも明るく笑った。


「即答に近かったよ。悩んだ顔なんて一瞬も見せなかった」
「え、そうなんですか?」


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