シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「ああ。よほど雨宮さんに近づきたかったんだと思うよ。
君と会ってからの篤志は本当にそれまでとは見違えて……どうかしたかい?」
「あ……いえ。部長も五十嵐さんも私を買いかぶっているように思えてしまって」
「買いかぶってなんかいないよ。現に篤志は雨宮さんと会ってから変わったんだから」
「五十嵐さんも私のおかげみたいな事を言いますけど……それは全部ただのタイミングであって私じゃなくてもよかったんじゃないかと思うんです。
ただ、私は五十嵐さんに普通に挨拶をしただけですから」


五十嵐さんが私に惹かれ始めた理由に対して、ずっと思っていた事がある。

五十嵐さんは、普通に挨拶して話しかけてきたから私を気にし始めたって言ってた。
だけどそれは私じゃなくてもよかったんじゃないかってずっと思ってた。
ただ偶然、私が同じマンションで隣だったから。
それだけの理由だ。



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