シークレット ハニー~101号室の恋事情~
◇大切にするための決断



なんでこの人はこういう時必ず聞いているんだろう。
もうなんと言おうと五十嵐さんの趣味は盗聴または盗み聞きだ。

げんなりとしている私を見て、五十嵐さんは微笑んだ後それを困り顔に変えた。


「葉月がまだそんな事を思ってたなんて思わなかったよ。
心外だな」
「私もまさかまた盗み聞きされてるとは思いませんでした」
「今回は俺じゃなくて叔父さんの提案だけどね」


そう言われて振り向くと、苦笑いを浮かべた部長が気まずげに私を見た。


「いやぁ、篤志が雨宮さんにまだ好きだって言われた事がないって言うから、じゃあここは私がひと肌脱ごうかと。
なんでも、篤志以外の人間には意外と熱くなって色々気持ちをぶつけるっていうから、つい……」
「つい、仕組んだわけですね……」



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