シークレット ハニー~101号室の恋事情~
その後の事は断続的にしか記憶にないけど。
覚えているのは、大きな渦の中で、もう無理って何度か思った事と。
ふたりの熱に耐えきれなくて溶け出しそうになっている私を見下ろす、優しい瞳。
汗の滲んでいる彼の頬に手を伸ばすと、その手を握られて愛しげに微笑まれる。
こんなの、反則だ。
その微笑みに胸の奥がきゅうって締め付けられた事は覚えていない事にしようと心に決めてから、意識を手放した。