シークレット ハニー~101号室の恋事情~
なんかもう本当にどうかしてた。いや、してる。
自分が自分じゃないみたいだ。
「こうなったらベランダから……無理か」
なんとか顔を合わせずに帰れないかと、逃亡も視野に入れて色々考えてみたけど。
しばらく考えてから、逃げ続ける事なんてできない事実を受け入れて諦めた。
ベッドから下りると、私は白いシャツに下着っていう、いかにもな格好でまた気が滅入る。
シャツは私のじゃないから、五十嵐さんの。
つまり、五十嵐さんが着せたって事だ。
初めて会った男に脱がされただけじゃなく履かせられたとか、本当にもぉおおう……!
頭を抱えてしゃがみこんでいると、控えめな音を立てて寝室のドアが開く。
その音に顔を上げると、私を確認した五十嵐さんが優しく微笑んだ。
爽やかな笑顔がまぶしい。