シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「起きてたんだ。おはよう、葉月」
呼び捨てされている事を注意した方がいいのか考える。
でももう昨日あんな事しちゃった手前、呼び方とか小さな問題はどうでもよく思えてきて。
朝から注意する気力もないし身体もだるいしで、そのまま流す事にした。
なんか、こうやって人間って流されてダメになっていくのかって身を持って思う。
「あの、私の着替えは?」
「ああ、洗ってるところ。煙草臭かったから」
「あー、職場の人、煙草吸う率が高いから、飲み会行くといつも匂いがついちゃうんです。
……って、洗ってるって、私何着て帰ればいいんですか」
「今日は天気もいいし、午後には乾くよ。
土曜で仕事も休みだろうし、ゆっくりしていけば」
微笑む五十嵐さんに顔をしかめると、何か用事でもあるのと聞かれる。
「ないですけど、流されてる感じがしてイヤなんです」
「別にそんな事ないと思うけど」
「そんな事ありますよ。だって昨日からずるずると……」
「昨日から?」