シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「まぁ、職場が職場だったし否定しないけど」
「芸能界がどんな場所なのかはよく分かりませんけど、五十嵐さんが誘えば乗ってくる人くらいいるでしょ?
なのに、なんでわざわざ私なんですか?」
本当に心の底から分からない疑問をぶつけたのに、またため息をつかれる。
でも気になるからじっと見ていると、五十嵐さんは困り顔で微笑んで私を見た。
「とりあえず、朝食にしない?
どっちみち葉月の服は午後まで乾かないんだし、食事でもしながらゆっくり話そうよ」
どうしようか少し考えたけど。
服もないし、疑問も残ったままだし。
それになにより、さっきからするいい香りが食欲中枢を刺激するせいで、お腹がうるさいし。
タイミングよく、ぐぅって鳴ったお腹の音を聞かれて苦笑いを浮かべると、それを五十嵐さんに笑われる。
「たいした食事じゃないけど、もうふたり分作っちゃったし、食べて行ってくれると助かるんだけど」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
昨日から色んな欲求に負けすぎな気がしながらも。
五十嵐さんの優しい微笑みに頷いた。