シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「野田さん、自宅がこっちの方面なんですか?」
「いや、俺、電車乗らないと帰れないよ」
「じゃあ、こっちに用事でも?」
「ないけど」
「……じゃあなんでついてくるんですか」
「だって久しぶりに会ったから話したいなーって思って。
歩いて帰るって事は、葉月の家、近くなんだろ?」
「私は話したくないので」
「またまたー。話す事くらいあるだろ。だって別れて六年も経つんだから、その間何かしらあっただろー?」
「例えあったとしても、野田さんに話す必要なんかありませんから」
「じゃあ話さなくていいから、俺の話聞いてくれない? 
あ、コンビニで酒買ってかない? 飲み足りなくて」
「だったら、二次会行けばよかったじゃないですかっ」
「ああ、でもなんかそんな気分でもなかったし。
ほら、気使う場所、俺苦手だから」


ああもう本当にイライラする。
付き合っていたのは本当だし、その間この人を好きだったのも事実だけど。

再会して感じるのがここまで負の感情ばかりだとは自分でも驚きだった。



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