シークレット ハニー~101号室の恋事情~
じっと見てくる福島さんをなんとか誤魔化そうかとも考えたけど、結局逃げ切れない気がして。
白旗を上げながら苦笑いをこぼした。
「福島さん、今の仕事よりも向いてる仕事が絶対にあると思います」
「私は今の仕事で満足してるからいいの。
で、認めるのね?」
「なんか怖いんですけど」
「認めるのね?」
「……はい」
私の自供を聞くなり、福島さんの表情がパっと明るくなる。
それから始まった取り調べには黙秘権なんて言葉は存在するハズもなくて。
福島さんに質問されるまま、野田さんとの事を事細かに白状する羽目になった。
「なんとなく、金曜日の飲み会の時から雨宮の態度がおかしかった理由がこれで分かった。
なるほどねー。野田さんとねぇ」
「……はい」
「雨宮が一年目の五月に元気なかったのは、五月病じゃなくて野田さんのせいだったって事かー。
私が厳しくしすぎて落ち込んでるのかと思ってた」