シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「ああ、なんとなく分かる。
雨宮って、彼氏べったりなタイプじゃないもんね。
踏み込まない分、自分も踏み込んで欲しくないラインがある感じがする」
「あ、本当にそんな感じです」
「そういうところが、野田さんは心地よかったって事ね」
「みたいですね。
でも、その後付き合った人には、そういうところが理解できないって言われましたけど。
付き合ってるのになんで一線引きたがるんだって」
食後に運ばれてきた白玉あんみつにスプーンを入れながら苦笑いすると、福島さんが「ああ、あの男ね!」と少し大きな声で言う。
その彼と付き合い始めたのは、入社してから一年半が経った頃だった上、社内の人だったから、福島さんもある程度の……というか、恐らくほとんどの流れは把握してる。
色々と根掘り葉掘り聞かれた覚えがあるから。
「あの男は、女か!ってくらい恋愛脳だったよね。
好きになったら全部が自分のものみたいな感じで、話聞いてただけでイライラしたもん。
今でも社内でたまに顔合わせる度にイライラするし」