シークレット ハニー~101号室の恋事情~


別れるって結果になったのは、私にも悪いところがあったと思うし、なにより別れを私から切り出した事に罪悪感があった。
だから、色々噂されても今まで我慢してきたけれど。

最近はさすがにツラい。



「あ、雨宮、聞いた?」


開店時間前のカウンターの拭き掃除をしていると、トイレ掃除を終えた福島さんが聞く。
開店時間15分前までは、男性社員は外の掃き掃除、女性社員は店内の細かい掃除をするのが決まりだ。


「聞きましたー。あれでしょ、私の悪口みたいな噂の第二弾」
「え、雨宮また悪い噂されてるの?」
「この間の飲み会の後、誰かさんがついてくるからそれが噂になってるみたいで。
エリートコース狙ってる汚い女って言われました」
「は? だってそれ、野……が勝手についてきたんでしょ?
雨宮悪くないじゃん」


野田、と言いかけて周りの目を気にして止めた福島さんに苦笑いをもらす。



< 63 / 313 >

この作品をシェア

pagetop