シークレット ハニー~101号室の恋事情~
課長は難しそうな顔をしながら、そわそわした様子で答える。
笑顔を作ってはいるけど、だいぶ慌ててるみたいだ。
「まぁ、みんながみんな異動時期が同じわけじゃないって事だ。
突然すぎて戸惑っているとは思うが、これも上からの命令……いや、お願いだと思って聞いてくれないか」
「お願い?」
「いやぁ、まぁ、その……そうだな」
何か事情があるのにそれを隠しているのは、見ていて分かった。
でも私を急いで異動させないとマズイ事情なんか……。
そう考えて、思い当る節がある事に気づいた。
「課長……もしかして、野田さんとの事が関係ありますか?」
驚かないところを見ると、昨晩から流れている私と野田との噂を知っているようだった。
「同じ課にいるのも、雨宮もやりづらいだろう?」
「でも、私が言ったわけじゃ……」