シークレット ハニー~101号室の恋事情~
今の私は、温かいモノにならすべてにしがみつきたくなっちゃってるから。
今日は五十嵐さんとの距離感に気を付けないと。
多分、五十嵐さんはとても温かくて優しいハズだから。
声のトーンや柔らかい表情がそれを物語ってる。
現にさっきだって五十嵐さんの顔見た途端に、安心しちゃったくらいだし。
「さっきまでは、明日の朝まで動くこともできないくらいだったんですけど。
やっぱり誰かがいるとちゃんとしなきゃって思えますね。ありがとうございます」
素直な気持ちだったのだけれど、五十嵐さんは驚いたらしく少しの間私をじっと見ていた。
そして、それから心配そうに顔を歪める。
「もしかして俺、無理させてる?」
「え、違いますよ。助けられたって事が言いたかったんです。
これでお風呂もちゃんと済ませて眠れそうです」
笑うと、五十嵐さんは探るように私を見た後、キッチンの床に置いたままのビニール袋に目をやった。