シークレット ハニー~101号室の恋事情~


食事を済ませた後、五十嵐さんは一度部屋に戻ったハズだ。
だから私も、お風呂に入ったのに。

なんでまた五十嵐さんが私の部屋にいるんだろう。

五十嵐さんは困ったように笑って私を見た。


「お風呂上がりの葉月に紅茶を入れてあげたかったって言ったら怒る?」
「……不法侵入って事ですか」
「犯罪用語で言うならね。
だから、葉月が嫌なら帰るけど」


決断を委ねられて、呆れて笑う。

いつから私は不法侵入を許せる女になったんだろう。
寛容もいいとこだ。


「管理人って立場で部屋に入る時以外は合い鍵使ったらダメなんじゃないですか。
……インターホン鳴らしてくれれば、よっぽど部屋が散らかっていない限りは開けますから今度からはそうしてください」


そう言うと、五十嵐さんは少し驚いた顔をする。


「前入れてもらった紅茶、おいしかったから」


それだけの理由じゃないけど。
五十嵐さんが安心したように笑ったから、それ以上は言わなかった。


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