シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「利用して甘えてくれればいいよ」
「……利用しろだなんて言ってると、そのうち痛い目に遭いますよ」
「それで葉月が楽になるなら構わないよ」
「五十嵐さんは、優しすぎます」
「そんな事ないよ」


そんな事ありますと反論したけど、もう一度、そんな事ないよと言い切られてしまう。
後ろから抱き締められている状態に少しだけドキドキしていると、五十嵐さんが言う。


「俺は、チャンスを逃さない主義なだけだよ。
優しくして……こうして付け込んでるだけ」


言い終わる前に、五十嵐さんの手に顔を無理やり振り向かされる。
そして、至近距離の五十嵐さんが視界に入るや否や、そのままふたりの距離がなくなって唇が重なった。




< 94 / 313 >

この作品をシェア

pagetop