キュンラブ†誘惑~Because I love you~年の差恋愛
自覚
車を静かに停めて、澪に視線をやる。
右手を俺に預けたまま、窓に寄りかかるようにして澪は眠っていた。
窓から差し込む街灯の明かりが、澪の頬に残る涙の跡を照らし出す。
その顔は、小さいころおばさんに叱られて、俺の膝の上で泣き疲れて眠っていたころと変わらない。
でも…
俺は自分の左手の中の美緒の手を見つめた。
とても小さな手だけれど、あの頃のようなふわふわの子供の手じゃない。
なめらかで細い指先は女の手になっていた。
俺は握った澪の手を持ち上げると、そのまま俺の口元に運んだ。
澪がしていたように人差し指を口に含み、そっと爪に歯をたてる。
甘い、と感じるのはなぜだろう?
「っ…」
小さく身じろぎをする澪に、ハッとして俺は唇から指を離す。
---今、
俺は何をしていた?