キュンラブ†誘惑~Because I love you~年の差恋愛
俺は自分が無意識のうちにとった行動にうろたえ、澪の手を強く握りしめてしまった。
「---ん、・・・」
澪は一度うっすら目を開いたあと、何度か震えるようなまばたきをし、ゆっくりと目を見開いた。
「---澪、着いたよ」
俺はばつの悪い思いを押しころし、平静を装う。
「…え?」
「俺のマンション」
まだはっきり目が覚めてないのか、澪はぼんやり俺を見つめ返してくる。
「そんな顔で帰したら、おばさんや洸貴が心配する」
「…っ、!」
澪が慌てて、空いている左手で涙の跡を誤魔化すように目をこする。
俺は運転席から身を乗り出し、目を擦る澪の手を掴んだ。
「っ、や!」
両手を俺に封じられた澪は、逃れようと身をよじる。
澪の髪がゆれて、甘い香りが俺の鼻先を掠めた。
その瞬間---、
俺は知らない女が、突然目の前に現れたような錯覚にとらわれた。