キュンラブ†誘惑~Because I love you~年の差恋愛
妃紗子は伸び上がって振り返ると、俺の前に挑むように立ちはだかった。
「よくも人のことを痴女あつかいしたものね」
妃紗子の標的は俺に移ったようだった。
「いや、そんなつもりは---」
妃紗子は胸の前で腕を組むと、俺の頭の天辺からつま先まで、じろじろ不躾に眺めた。
「あいかわらずイヤミなくらい隙のないルックスね」
「その言葉、そっくりそのままお返しするよ」
外見だけなら女神のようだ。
中身は魔女だが…
「今度は褒め殺しでもするつもり?
聞き慣れた褒め言葉では効果はないわよ」
「次回までに殺傷力のある言葉を考えておくよ」
フン、と妃紗子は小馬鹿にしたように鼻で笑って俺の言葉をスルーした。
「妃紗子。
会社内、案内するけど?」
妃紗子と俺の間に流れる微妙な空気を全く読まない洸貴が声をかけてきた。