【雪の夜は傍にいて。】
【想いこがれて。】
秋の色は人を切なくさせる。
いまにも泣き出しそうなこの手を
優しく握ってくれる人は
      

         いない。




   【想いこがれて。】





「ぁーあ…もぅ最悪!」

夏の蒸し暑さが過ぎて、心地よい陽だまりに広げたお弁当
いつものように親友の唯奈(ゆいな)どだらだらと過ごしていた。

「聞いてょーゆき!あいつったらひどいんだよ!
 私と1週間も前に約束してたのに…前日に決まった部活に行っちゃうし…
 何で私の約束優先じゃないのーーー!?ホントむかつくっ」

「…唯ちゃん…ほら、駆流(かける)もいま部活で大事なときだって言ってたし…」

「にーしーてーもー!!!」

「今日は放課後、私と遊ぼう?ね!」

「ぅん…ありがとゆき…」

じたばたと半ば納得してない唯奈をなだめて
いつもよりもうんと長く感じる昼休みを癒してくれるのは
甘い甘いいちごミルク。



…ホントは一番聞きたくないのだけど。



「もぅ…別れちゃおっかなぁ…」


ぽつり、と唯奈がこぼした一言が
雪崩の様に抑えていた感情で頭を真っ白にして
とても…虚しい気持ちにさせた…







「ダメ…だよ。
    そんな心にもないこと言って…」




『笑う』仕草ももう慣れた。






唯ちゃんは今、私が5年片思いをしてる
幼馴染の駆流と付き合っている。
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