優しい彼に愛されて。
「いや、お店で襲われかけてる女の子がいたら助けるでしょ。そりゃぁさ」
結構な力で松本君の腕を掴んでいるんだろう。
松本君の顔が歪んでいる。
でもそんなことお構い無しといった感じで、にっこり笑顔を崩さない店員さん。
「離せよ」
「もう襲うなよ?」
店員とは思えない口の悪さ。
「分かったから、離せっ」
それを聞くと店員さんは松本君の腕を離す。
松本君の腕は薄っすらと赤く染まっている。
相当の力だったんだとわかる。
「もうお前失せろ」
店員さんはさっきの笑顔はどこへやら。
ドスの聞いた低い声を出した。