プラトニック
「葵、おかえりー!」


お父さんとお母さん。

結婚して九州に住んでいる長女のアヤ姉と、その家族。

そしてミキ姉。

総出で迎えてくれて、わたしは自分の実家なのに少しタジタジした。


「寒かったやろ。早く上がりなさい」


お父さんはそう言うとわたしの重い荷物を持って、リビングに運んでくれた。


玄関に座ってブーツを脱ぐわたしの背中に、今年4歳になるアヤ姉の長女がじゃれてくる。


「葵ちゃん、明けましておめでとう!」


前に会ったときはまだカタ言だったのに、いつの間にかちゃんと話せるようになっている姪の成長に驚いた。


「最近いっぱい言葉覚えてきて、うるさいくらいやで」


アヤ姉はそう言って苦笑いするけれど、誇らしげだ。



リビングに入ると、見慣れない男の人がいた。

わたしを見てさっと立ち上がり、深々と頭を下げる。

誰だろうと思っていたら、


「桂木健太さん。こんど結婚するの」


ミキ姉が照れくさそうに言った。

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