プラトニック
「えーっと。受験勉強もせずにギターばっかり弾いてて、昨日、親父にゲンコツ食らわされました~」
ステージでマイクを持ってそう話すのは、栗島くんだ。
以前見た初ライブのときよりずっと堂々としていて、ギターをかまえる姿もさまになっている。
ライブハウスの中は、夏の暑さとは別物の熱に包まれていた。
人と人がぶつかって生まれる熱気。
人間の熱さだ。
前は苦手だと思ったのに、今日は不思議と嫌じゃなかった。
となりに瑠衣がいてくれたからかもしれない。
「んじゃ1曲目いきます」
ダダン! という軽快なドラムの音を合図に演奏が始まった。
思わず、口をぽかんを開けてしまった。
前に聴いたときとは比べ物にならないほど、上達していたから。
そりゃあ練習していればうまくはなるだろうけれど、予想をはるかに超えていた。
他を圧倒するほどの成長スピードは、若さの特権だろうか。
栗島くんの表情は真剣でありながら、楽しそうな余裕が垣間見えた。
それはきっと、自信の表れ。
隣を確認すると、瑠衣もわたしと同じように口を開けてステージに見入っていた。
「俺」
わたしにしか聞こえないような声で、瑠衣が言った。
「久しぶりに栗島の演奏みたけど、感動したかも」
瑠衣の声を、客の声援がかき消した。
そのあと他のバンドと合同の打ち上げに、わたしたちも参加させてもらった。
ベーシストの先輩が勤めているというバーを貸しきって、決して広くはない店内に30人くらいが集まっている。
栗島くんはわたしたちの姿を見つけると、立ち話する人の間を縫って、小走りで駆け寄ってきた。
「水野先生! 来てくれたんですか!?」
ステージでマイクを持ってそう話すのは、栗島くんだ。
以前見た初ライブのときよりずっと堂々としていて、ギターをかまえる姿もさまになっている。
ライブハウスの中は、夏の暑さとは別物の熱に包まれていた。
人と人がぶつかって生まれる熱気。
人間の熱さだ。
前は苦手だと思ったのに、今日は不思議と嫌じゃなかった。
となりに瑠衣がいてくれたからかもしれない。
「んじゃ1曲目いきます」
ダダン! という軽快なドラムの音を合図に演奏が始まった。
思わず、口をぽかんを開けてしまった。
前に聴いたときとは比べ物にならないほど、上達していたから。
そりゃあ練習していればうまくはなるだろうけれど、予想をはるかに超えていた。
他を圧倒するほどの成長スピードは、若さの特権だろうか。
栗島くんの表情は真剣でありながら、楽しそうな余裕が垣間見えた。
それはきっと、自信の表れ。
隣を確認すると、瑠衣もわたしと同じように口を開けてステージに見入っていた。
「俺」
わたしにしか聞こえないような声で、瑠衣が言った。
「久しぶりに栗島の演奏みたけど、感動したかも」
瑠衣の声を、客の声援がかき消した。
そのあと他のバンドと合同の打ち上げに、わたしたちも参加させてもらった。
ベーシストの先輩が勤めているというバーを貸しきって、決して広くはない店内に30人くらいが集まっている。
栗島くんはわたしたちの姿を見つけると、立ち話する人の間を縫って、小走りで駆け寄ってきた。
「水野先生! 来てくれたんですか!?」