インディアン=スノー=ディ
夕方
ぼくらは表へ出た。


ぼくらは
夕方、
陽射しが少し和らいでくると、
よく外を歩いた。


「ねえ。」

昼間の
火照ったような空気を
夜が静かに冷やしてゆく。


近頃、
夜は急速に涼しくなっていく。


夕暮れの薄暗がりの中で、ちえちゃんが呼んだ。

「ん?」

半歩程、
前を歩いていた彼女は
ちょっと
首を傾げるように振り返った。


「…なんでもない。」

「なぁにー?」


彼女は、
くったくなく笑いながら言った。


「なんでもない。」

「ずるい。言いかけたのに。」

「いーの。やめた。」

ちえちゃんが、
そう言い切ると、
彼女は少しいじけた顔をし、
それでも、もう、
それ以上はその事に触れずに歩き続けた。
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