インディアン=スノー=ディ
窓から入ってくる風が、
レースのカーテンだけを
静かに揺らした。


しばらく、
部屋の中は、
しんとしていた。


沈黙を破ったのは
彼女だった。


部屋を満たした沈黙の中を、
彼女は
宇宙飛行士のように、
ゆっくりと歩いて
真中のテーブルに、
氷の入ったオレンジジュースを
3つ置いた。


そして、
お盆を持って部屋から出て行き、
代わりに
アイスキャンディーを3本持って
戻ってきた。


たっぷりその間、
ぼくとちえちゃんは
黙ったままだった。


アイスの袋を開ける音が、
いやに耳についた。


やけに甘いアイスだった。
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