インディアン=スノー=ディ
この夏、
雨がほとんど降らないせいも
あるけれど、

ぼくらは
雨の日に集まった事はなかった。

学校でしか
会った事のないクラスメイトの
私服姿を初めて見た時のような、

淡い戸惑いがぼくを襲って、
彼女の

その突拍子もない誘いを
理解するのが一瞬遅れた。


…3分後、
ぼくは彼女の指示に従って、

ビーチサンダルを履き、
ビニールの傘をさして、
街を歩き出した。


家には
レインコートはなかった。

彼女は不服そうだったが、
「ちゃんと周りが見える透明な傘」
で妥協した。

そして、
どうせ濡れるからと、
ビーチサンダルを履いて、
ぼくらは表へ出た。
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