青色キャンバス
「…あの……」
「えっ…………?」
私以外いるはずのない教室に、私以外の声が響いた。
入口に視線を向けると、真新しい制服に身を包んだ男子生徒がいた。
茶色くてくせのある髪、それとお揃いのくりくりとした瞳。
格好良いよりも可愛いよりの顔立ちの男子が立っている。
「あの……」
そんな可愛い男子が私の傍まで歩いてくる。
身長は私よりも断然大きかった。
「泣いてたんですか?」
可愛い男子が私の頬に手を伸ばして涙を拭った。
「あ…君は……?」
放心したまま尋ねる。