青色キャンバス
「先輩、寂しそうな顔してる」
「あっ………」
私、秋君の前でそんな顔してたんだ。
一人の時以外で表情を出したのはいつぶりだろう。
家族の前ですら出せずにいたのに…
だって……
一度隠せなくなったら、もう二度と涙を止められなくなる。
「そう…かな……?見間違いだよ」
お願いだから踏み込まないで。これ以上は…
「ならそういう事にしといてあげる。だから、このままでいたらいいよ」
「…うん…」
不思議な人。
初めて会った人なのに、この腕を振り払えなかった。
この腕の中が不思議と落ち着く。
その腕の中で、私は涙を流した。