青色キャンバス
「先輩……」
秋君が近くにあった毛布で私をくるんだ。
あったかい……
さっきまで冷たくて、寒くて、気持ち悪い…嫌な夢を見ていたみたいだった。
「先輩、先輩ごめん……」
秋君は泣きそうな顔で私に謝る。
どうして?
どうして秋君は謝ってるんだろう…
秋君は何もしてないのに…
むしろ助けてくれた。
「…秋君は…私を助けてくれたんだよ?どうして…謝るの…?」
「どうしてって、俺がもっと早く来てれば……くそっ!!」
―ガンッ
秋君が床を殴る。
「先輩の事…守れなくてごめん…ごめんな…」
秋君が私に手を伸ばす。
そしてそのまま私の頭を優しく撫でた。
「守るって決めててたのに、俺………。怖かったよな?もっと早く助けてやれなくてごめん」
秋君の言葉使いがいつもと違う…。
本気で私を心配してくれてるんだ…。
「心配かけてごめんね…私なら大丈夫だから。秋君が謝る事ないよ?」
大丈夫……
こんな事、初めてじゃない。
蛍ちゃんに出会う前、亮さんと一緒に暮らしていた頃に比べれば…
今回は私の不注意のせい。
気が緩んでたのかもしれない。秋君がそばにいてくれるから、安心して……
一人の時の私なら、絶対に戸締まりも忘れない。