青色キャンバス
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「だけど駄目だね………」
バスの窓から流れる景色を眺める。
青空が広がっていた。
……美術部が安泰になって、私は夢中になるものが無くなった。
そのせいか、また失ったモノの大きさと傷みが私を支配して、いつの間にか逃げるように絵を描いていた。
「…真白、なんて顔してんのよ」
「あ………先生?」
気付けば先生が私の隣に座っていた。
あれ……?
隣には菜緒ちゃんがいたはず…
「あの子達なら先に行かせたわよ。真白に話があってね。なのにあいつら待つって聞かないから、外で待ってるけど」
待ってるって…………
外を見ればバスが停止していた。
いつの間に着いたんだろう……
「これ」
「あたっ…」
松永先生が私の頭を叩く。
「ぼーっとして、しっかりしなさいよ真白」
「松永先生………」
「東の事、まだ…」
「っ!!」
蛍ちゃん………
「佐藤から聞いたわよ、真白、あの伊達
壇二郎に見初められたらしいわね」
「見初め…って…」
「伊達 壇二郎は風景画の天才よ。そんな画家に目をつけられるなんて、あなたには何か輝きがあったんでしょうね」
輝き………
私なんかにそんな輝きがあるの?
私は…ただ悲しみを埋めるだけに絵を描いている。