青色キャンバス
「先輩」
「うん?」
私はデッサンから目をそらさずに返事をする。
「先輩の事、私大好きです」
「……うん?」
私は顔を上げて菜緒ちゃんを見上げる。
何故か菜緒ちゃんは泣きそうだった。
「…菜緒ちゃん?」
なんでそんな悲しそうな顔…
「先輩の事大好きな人、たくさんいます。先輩は一人ぼっちじゃないです!!」
「菜緒ちゃん………」
蛍ちゃんも私も誰よりも努力していた菜緒ちゃんを可愛がってた。
中学校の美術部から一緒の菜緒ちゃん。
家に連れてきて、蛍ちゃんと私と三人で、よく絵を描いた。
中学生組の私達と、高校生の蛍ちゃん。
途中からふざける私と菜緒ちゃんを高校生の蛍ちゃんが「お前ら真面目にやれ!」って怒ってたっけ……
だからか、菜緒ちゃんは私や蛍ちゃんによくくっついて回ってた…
「だから先輩、私の事も頼って下さいね!」
菜緒ちゃんは笑顔で私の手を握りしめる。
「…ありがとう…」
菜緒ちゃん、本当にありがとう…
泣きそうになり俯くと、菜緒ちゃんが背中をさすってくれる。