青色キャンバス
「先輩……好きって…………」
涙に濡れた瞳が見開かれる。
「ずっと言えなくてごめんね。私、今すごく秋君にそう伝えたくなったの」
好きが溢れてる。
私はこれからもっと秋君に恋をしてしまうんだろうな……
私は、蛍ちゃんのいる過去を振り返りながら、少しずつ秋君のいる今、秋君と歩む未来を見つめてる。
そして……歩みだしている。
「やばい……俺っ!!」
「え、…んっ!」
突然塞がれた唇に戸惑いながらも受け止めるように瞳を閉じた。
あったかい…………
目を閉じてると、その温かさ、秋君からの好きを感じる。
-秋君、私は秋君の全てがこんなにも好きだよ…
たくさん、たくさん知ってほしい。
でも、次から次へと溢れて…どうやったら全部伝える事ができるのか、わからないよ…
「っ……ごめん、苦しかった?」
「ふふっ、大丈夫!どんな秋君も受け止めるって言ったでしょ?」
「雛先輩………俺、すごい好きだ。俺、きっと先輩と出会う為に生きてきたんだね」
優しく抱き寄せられる。
私も、秋君と出会うために、今まで生きていたのかもしれない。蛍ちゃんを失ってから、ぬけ殻だった私を埋めてくれたもう一人の運命の人…
「東先輩にもあげたくない、俺のモノになって…」
「秋君………」
「ごめんね、困らせた。でも、これだけは信じて。雛先輩が誰よりも大切で、好き。ありがとう…傍にいてくれて…」
秋君………
私が蛍ちゃんとの間で揺れてる事を知りながらも好きでいてくれる。
何もかもを忘れて秋君を選んでしまえたら………
ううん、そんなの……許されない。
なのに………私、今秋君だけの為に生きたいと思ってる…
「私こそありがとう、秋君…」
一番だと、胸を張って秋君に伝えられなくてごめんなさい。
私は………どうしたら、秋君を安心させてあげられるんだろう…
過去から完全に抜け出せない私は、まだ未来へと歩き出すことを決意できなかった。
私は、本当に弱い人間だったから………