青色キャンバス
「おかえりなさい、秋君。疲れたよね、ご飯あるよ」
「ただいま、お帰りのチューは?」
「な、ななな!」
真っ赤になる私に、秋君はすかさず口づける。
「んっ、あー!帰ってきたって感じ!疲れも吹き飛ぶ!」
「あ、秋君………」
まう完全に秋君のペースに巻き込まれてしまう私。
心の心労が絶えないよ!
「あ、今日ね、伊達さんに電話したの」
ご飯を食べながら、私は今日の事を秋君に話した。
「伊達さんなんて?」
「うん、すぐに応募用紙を送ってくれるって。あと、楽しみにしてるって言ってたの」
「俺も先輩の絵、楽しみだよ。絶対にどの絵よりも人を惹き付ける。俺の勘もそう言ってるから、間違えない」
そうだ、秋君の美術商としての目もそう言うなら、私も自分を信じられる。
「頑張ってみる。それでね、テーマなんだけど………」
テーマを伝えると、秋君は何故か不敵な笑みを浮かべた。
「俺ならすぐに決まっちゃうな、そのテーマ」
「え、何々?参考にさせて!」
すると何故か秋君は私の唇を指でなぞる。
………ん?
どうして秋君は私の唇を触ってるのかな?
ドキドキしながら秋君を見上げると、秋君は妖艶に笑う。
「俺の心を占めるのはね、いつも先輩なんだよ」
「わ………たし……?」
声が震える。
あれ、これはなんか………
危ない状況……?
「この肌に触れたい、この唇に噛みつきたい…とか、俺の手でどんなふうに感じるのか……とかね、エローい事ばっか考えてんの」
「え、えろっ?な、えっ?」
私、いったいどうして攻められてるんだろう!
ただ、テーマの話しただけなのに!!
「だーかーら。先輩をめちゃくちゃにしたいって…」
「ご、ご飯中です!」
グイッと秋君を引き離して、私はご飯をもくもくと口に突っ込む。