青色キャンバス
「真白」
美術室へ向かう途中、名前を呼ばれ振り向くと松永先生がいた。
「松永先生」
「コンクール、応募するんだってね。それもあの世界を相手に、思いきったわね」
松永先生は笑いながら私の肩を叩いた。
「真白、生き生きしてるわ」
「先生…………」
松永先生、私が弱くてうじうじしていた時、必ず戦うための術を教えてくれた人。
「はい。私、まだまだ弱くて、はっきりと何もかも決められてないけど………」
私、少しずつ進みたい。
立ち止まっていたくないんだと思う。
「先生、私……戦って、夢に近づきたい」
「阿呆、天下とってくるくらいいいなさい」
その言葉が先生らしくて、笑ってしまう。
「はい!」
「それでよろしい」
私はペコリと先生に頭を下げて美術室へと走り出す。
「いい顔になったわね、真白………」
先生の、優しい眼差しに気づく事なく、私はただ、がむしゃらに夢へ向かった。