青色キャンバス



「どこ!?すぐに行くから!!」


「来ないで」


勝手に近づけて、遠ざける………
私、最低だ…


「………先輩?」


不安そうな秋君の声。
私は、自分の罪から目を逸らした罰に、もう一人の大切な人を傷つける。



「私を恨んでいいから、嫌いになってもいいから……私たち、別れよう……」


言ってしまった。
もう、引き返せない。

私が苦しんでいいはずかない、泣いちゃいけない。
私が傷つけたんだから……




「………冗談やめてよ、笑えない」

「本気なの。私、どこかでこんな日が来るってわかってたの……。私、やっぱり秋君だけを想うなんて…出来ない…



私は確かに秋君に恋をした。
秋君も私を好きになってくれた。


私が秋君と出会わなければ良かった?
それとも蛍ちゃんと出会わなければ良かった?


もう、わからないよ……………


「東先輩が忘れられないから……?でも俺、それでもいきから、それも含めて先輩をっ………」

「違うの!!それじゃあ……駄目なんだよ……」


それじゃあ、私はまた秋君を傷つけてしまう。
秋君にそこまで甘えられない……


「先輩………それでも、俺ともう一度会って。他の女なら、適当に終わらせられても、先輩は………」


私とはちゃんと終わりたい、その気持ちが痛いほどに伝わってくる。


「うん………じゃあ、秋君の家に行くよ」


私はこれから来る別れを嫌だと思いながら、別れるために秋君に会いに行く。


矛盾している。
心はいつも、複雑で、簡単にはいかないから難しい。



私の心は、秋君と離れてもまた、満たされる事はあるかな……?




< 191 / 214 >

この作品をシェア

pagetop