青色キャンバス
「………雛っ…最後なのにっ………。どうして…そんな嬉しいプレゼント、くれちゃうかなぁ…っ」
ーポタッ
私のでは無い秋君の涙が私の頬に落ちた。
「雨……………」
「………え……?」
あの日、何もかも失ったあの雨を思い出す。
冷たく体温を奪って、見るたびにあの人を思い出すから、私は雨が嫌いだった。
でも…………こんなに温かい雨もあるんだね……
秋君の涙が、私に降り注いで温めていく。
そうだ、いつしか、私は雨に怯えなくなった。
「秋君、こんな私に……優しくしてくれて…ありがとうっ…」
涙が溢れては流れて、私のなのか、秋君のなのかわからなくなった。
こんな風に、ずっと解け合えてしまえたら良かったのに……
「好きだ………好きでごめんな………くっ!!」
ーズンッ
秋君の動きがだんだん激しくなっていく。
それに合わせて呼吸が乱れていく。
心地よい、苦しさだった。
「雛っ!!」
「秋っ、あぁっ!!」
そして尽きたように私たちは脱力した。
私の上にいる秋君が私の両頬を手で包み込み、そっと口づける。
ーさようなら、秋君………
私、秋君が初めてで嬉しかった。
好きだけど、傍にいれなくてごめんね………
今日の事が、お互いを苦しめてしまうかもしれないけど、この気持ちは………否定したくない。
後悔したくないよ………
秋君、本当に本当に…………大好きでした………