青色キャンバス
「雛先輩の絵を見れば、王子も入部してくれるはず!!」
ん?
菜緒ちゃん、主旨が変わってない?
「ささっ!先輩描いて描いて!!」
「う、うん」
菜緒ちゃんに背を押されるままキャンバスにデッサンを始める。
描くのは星が散りばめられた宇宙と白い鳥。
「美術部は今絶賛部員募集中でーす!!」
菜緒ちゃんは教室の扉を開けて客引きをする。
「良かった、入れなくて困ってたんですよ」
そこに聞き覚えのある声が聞こえた。
デッサンから目を離し、顔を上げると…
「雛先輩」
「あ…君……」
入学式の日、この美術室に迷い込んできた男の子、秋くんだった。
秋くんは私に笑顔を向ける。
秋……
秋ってまさか……
さっき菜緒ちゃんが言ってた王子様って…
「秋くーん!!」
「可愛いっ!!」
秋の後ろから沢山の女の子達が入ってきた。