青色キャンバス
「たとえ相手を傷つけてしまうのだとしても、それは相手を憎んでつける傷ではないし、お互いが好きで、守りたいと思うからつけてしまう傷でしょ?」
俺は……どうなんだろう。
雛先輩と傍にいる事は、先輩を傷つけると思ってる。
でもそれは、俺が先輩を好きで、守りたいと思うからで…
じゃあ先輩は?
先輩は俺を好きでも、東先輩の事を忘れられない。どちらも選べないから、俺を傷つけると思った……?
「傷つけ合っても良いんだと思う。付き合ってれば、少なからず相手を傷つける事もあるし、それも二人の想いでしょ?」
「先輩を傷つけるかもしれないけど……俺、傍にいたいっ思ってもいいんですかね?」
もし、傷つけてしまうと分かってても、手放せない恋なら…
傷ついてもいい覚悟があるなら、雛先輩の傍にいてもいいのか?
「あたりまえ!好きなら、傷つく覚悟、傷つけるかもしれない覚悟をしなさい!これが恋愛の導師!奈緒先輩からの助言なのだ!」
佐藤先輩は明るく笑い、俺の肩を叩く。
傷つけるかもしれない覚悟…か。
そんな考え、今までしたこと無かったな。
「俺、先輩を傷つけるかもしれないけど、それでも…それを忘れさせるくらい大切にする。だから、俺………」
諦めない。
諦めるなんてどうせ、無理だった。
先輩、好きだよ。
俺、もう一回先輩を抱き締めたい。
そうしたら、もうなにも恐れずに、雛って名前を呼びたい。