青色キャンバス


「すごいよね…」

「しかも先輩綺麗だし!」

「私、本気で美術部入りたくなったかも…」


沢山の声が聞こえる。
どうやら反響はあったみたいだ。


「良かったね、菜緒ちゃん」

「はい!!」


雛ちゃんの笑顔に私も笑顔を返す。


「雛先輩、この絵どうするの?」

「うーん…どうしようか」


部室に飾るも良し、蛍ちゃんのお墓に持っていこうか…



「決まってないなら俺に頂戴?」

「え…?」


あれこれ考えていると、秋くんは絵を見つめたままそう言った。


さっきから絵ばっかり見てる。


この絵、気に入ってくれたのかな?


「先輩の絵、俺欲しい」

「うん、どうぞ」

「いいの??」


勿論と私は頷く。


「その絵を必要としてくれる人がいるんだもん、秋くんが貰ってくれた方がその子も喜ぶよ」


私は絵を優しく撫でる。


絵は画家が生み出した子供のような物。


秋くんなら大事にしてくれる、何故かそう確信していた。









< 22 / 214 >

この作品をシェア

pagetop