青色キャンバス
「すごいよね…」
「しかも先輩綺麗だし!」
「私、本気で美術部入りたくなったかも…」
沢山の声が聞こえる。
どうやら反響はあったみたいだ。
「良かったね、菜緒ちゃん」
「はい!!」
雛ちゃんの笑顔に私も笑顔を返す。
「雛先輩、この絵どうするの?」
「うーん…どうしようか」
部室に飾るも良し、蛍ちゃんのお墓に持っていこうか…
「決まってないなら俺に頂戴?」
「え…?」
あれこれ考えていると、秋くんは絵を見つめたままそう言った。
さっきから絵ばっかり見てる。
この絵、気に入ってくれたのかな?
「先輩の絵、俺欲しい」
「うん、どうぞ」
「いいの??」
勿論と私は頷く。
「その絵を必要としてくれる人がいるんだもん、秋くんが貰ってくれた方がその子も喜ぶよ」
私は絵を優しく撫でる。
絵は画家が生み出した子供のような物。
秋くんなら大事にしてくれる、何故かそう確信していた。