青色キャンバス
02.新しい朝
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入学式から一週間が経った。今日も授業には出ずにキャンバスと向かい合う。
誰もいない美術室。
私だけの世界。
この時間が一番絵と向き合える。
「…………………」
海の底に静かにたゆたう魚達を描く。
モデルの無い幻想の世界。
「………ふぅ……」
しばらくすると絵が完成した。時計を見るとざっと3時間ほど経っている。
お昼食べてなかったな…
絵の事になると自分そっちのけでひたすらに筆を走らせてる。
「…うん、上出来」
椅子に腰掛け、机に肘をついて自分が生み出した絵を眺める。
………綺麗な子が出来たな。ここ最近で描いた絵で一番かもしれない。
……海…か……
「…蛍ちゃん……」
あの日、私が海に行きたいなんて言わなければ…
私が…我が儘言わなければ…
「失わずにすんだのかな?」
海なんて行けなくたっていい、私の事なんて好きにならなくていい。
だから……
なんでも我慢するから、もう何も望まないから…
蛍ちゃんを返してよ…