青色キャンバス
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12月13日、あの日は私の大好きな人、東 蛍夜(あずま けいや)と海に行く予定だった。
「おい雛、お前本気か?」
「私は至って本気ですよ、蛍ちゃん!!」
半分呆れている蛍ちゃん。
それでも、どうしてもこれだけは譲れない。
「寒いだろーが、海」
「だってぇー…海で花火ー…」
毎年海で花火をしていた私と蛍ちゃん。
今年は蛍ちゃんの絵画コンクールがあったから会えなかったのだ。
蛍ちゃんは私の一つ上の美術部の先輩。
初めて出会ったのは蛍ちゃんと私が中学生の時だ。
私は蛍ちゃんの絵に一目惚れした。
白いキャンバスに描かれた真っさらな青。
吸い込まれるような青空だった。
私もあんな絵を描きたい。この青空を描いた人はどんな人なんだろうって…
顔も見たこと無いのに、ずっとこの絵を描いた人の事を考えてた。