青色キャンバス


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―ポツリ


雨が降っていた。
その中を私は全力で走る。


「はぁっ…はぁっ…」


もう酸素を吸えているのかもわからない。


ただ口を開けて酸素を求める。



私はどうして走っていたんだっけ…


私は……


「蛍ちゃんがっ……」


そうだ。私は助けを呼ぶ為に走ってたんだ。


「雛…」


でも、どうして私の体はこんなに震えているんだろう。


足がうまく使えない。
今すぐにもこんがらがりそうだ。


「雛…どうして……」


あぁ……
私は逃げてる。


何から……?



「どうして俺を見捨てたんだよ…」

「違う…違うっ…」


この声は……
あれほど聞きたいと願っていたのに、今はただ怖かった。







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