最悪から始まった最高の恋
「はい。どちら様ですか?」
少し不貞腐れたような、テンションの低い声で扉の向こうの相手を確認する。
「彩菜ちゃん、マネージャーの吉村です。なんの連絡も無しに店を休むし、電話を入れても全然出ないし、どうしたのかなと思って、ママさんに頼まれて様子を見に来ました」
それは、“club ラインストーン・ティアラ”のマネージャーの吉村さんだった。
「吉村さん、今日はとても具合が悪いし休みます。それからママさんに今日をもって店辞めますって言っておいて下さい」
「ええっ!! いきなり辞められたらとても困るよ!! ママさんと良く話し合って貰えないかな?」
吉村さんの酷く焦った声が、ドア越しに聞えて来る。
「私ママさんに頼み込まれて、凄く嫌だったのに、座っているだけでいいって言うから渋々代理ホステスとして店に出ましたけど。全然話しが違うし……。それにとても酷い目に合うし……。もう信用出来ませんし、関わり持ちたくありませんので。お引き取り下さい!!」
「ママさんも申し訳なかったって反省してるし……。昨日は本当に悪かったね。約束のお金も倍にして払うって言ってるし……。お給料も増額するって言ってるし……。兎に角店に来てくれよ。話し合おう」
直接自分が来ないでマネージャーを介して何だかんだ言って来るママさんの態度に、彩菜は余計腹が立った。それにいくらお金を積まれても、傷物にされた代償はとても大きい。もう我慢ならない!!
「もう何も話す気持ちはありません。信頼関係が崩れてしまって、もう二度と会いたくないし……。店に出る気も全くありませんから。どうぞお引き取り下さい!! 何と言われても気持ちは変わりませんから!! ママさんにそうお伝え下さい」
彩菜はドア越しの吉村さんにキツイ口調で言った。
「今日の所は帰るけど……。お願いだから、どうか考え直してくれないかな? また来るからね」
(もう来なくていいですから!!)と叫びたかった。
吉村さんは、どうすればいいのか考え込んでいたのだろうか? 少しの間扉の前に佇んでいる様子だったが、やがて諦めて、コンコンと階段を降りて行く音がして、それから車に乗って去って行く音が聞えた。
「やっと帰って行ったわ……」
出来るだけ早く新しいアパートを見つけて、ここを出て行こう……。嫌な事を早く忘れるように、引っ越して心機一転気持ちを切替えて、頑張って行こう……。
少し不貞腐れたような、テンションの低い声で扉の向こうの相手を確認する。
「彩菜ちゃん、マネージャーの吉村です。なんの連絡も無しに店を休むし、電話を入れても全然出ないし、どうしたのかなと思って、ママさんに頼まれて様子を見に来ました」
それは、“club ラインストーン・ティアラ”のマネージャーの吉村さんだった。
「吉村さん、今日はとても具合が悪いし休みます。それからママさんに今日をもって店辞めますって言っておいて下さい」
「ええっ!! いきなり辞められたらとても困るよ!! ママさんと良く話し合って貰えないかな?」
吉村さんの酷く焦った声が、ドア越しに聞えて来る。
「私ママさんに頼み込まれて、凄く嫌だったのに、座っているだけでいいって言うから渋々代理ホステスとして店に出ましたけど。全然話しが違うし……。それにとても酷い目に合うし……。もう信用出来ませんし、関わり持ちたくありませんので。お引き取り下さい!!」
「ママさんも申し訳なかったって反省してるし……。昨日は本当に悪かったね。約束のお金も倍にして払うって言ってるし……。お給料も増額するって言ってるし……。兎に角店に来てくれよ。話し合おう」
直接自分が来ないでマネージャーを介して何だかんだ言って来るママさんの態度に、彩菜は余計腹が立った。それにいくらお金を積まれても、傷物にされた代償はとても大きい。もう我慢ならない!!
「もう何も話す気持ちはありません。信頼関係が崩れてしまって、もう二度と会いたくないし……。店に出る気も全くありませんから。どうぞお引き取り下さい!! 何と言われても気持ちは変わりませんから!! ママさんにそうお伝え下さい」
彩菜はドア越しの吉村さんにキツイ口調で言った。
「今日の所は帰るけど……。お願いだから、どうか考え直してくれないかな? また来るからね」
(もう来なくていいですから!!)と叫びたかった。
吉村さんは、どうすればいいのか考え込んでいたのだろうか? 少しの間扉の前に佇んでいる様子だったが、やがて諦めて、コンコンと階段を降りて行く音がして、それから車に乗って去って行く音が聞えた。
「やっと帰って行ったわ……」
出来るだけ早く新しいアパートを見つけて、ここを出て行こう……。嫌な事を早く忘れるように、引っ越して心機一転気持ちを切替えて、頑張って行こう……。