最悪から始まった最高の恋
　何かの罠じゃないかと疑う気持ちもあったが、大企業のトップでもある人が犯罪まがいのような事はしないだろうと思い、事の真相を確かめる決心をした。

「わかりました。あの……。このままの姿ではちょっと外出出来ませんし、少し出掛ける準備のお時間を頂いても構いませんか？」

「はい。こちらは全く構いませんので、ごゆっくり準備なさって下さい。あそこに止められている車がお迎えの車になりますので、ご準備出来ましたらいらして下さい」

「は……はい」

　円城寺さんの迎えの運転手さん？！　が手で指し示した車を見て彩菜は仰天した。（高級リムジンだ！！）　
　全くあの人は、人を驚かせるのが好きと言うか……。はではでしいというか……。私とは全く世界の違う……。そう、宇宙人だわね。

　彩菜はあの高級リムジンを見て気が引けてしまい、行きますという意思表示をした事をとても後悔した。
　だって……。あの車からすると、星が何個も付いているような超高級レストランとか……。一見さんお断りの超高級料亭とか……。お作法も分からずに、緊張で味も分からないような、自分にとってはとても居心地の悪そうなお店に連れて行かれそうな気がする。
　
　失敗した……。と思ったが、やはり事実を確かめなくては。
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