最悪から始まった最高の恋

　窓から見える景色は、キラキラと美しいイルミネーションに、高層ビル群。ここは青山辺りかしら？と思ったり、お食事はフレンチとかイタリアンのお店かしら？と、あれこれ想像を膨らませ、窓の外の風景をほんやりと見ていた。

　やがて、表通りから少し奥まった裏通りに車は入って行き、止まったと思ったら、そこは隠れ家的なセレブご用達らしい高級サロンだった……。

　何でサロンに連れて行かれたのかしら？と思いながら、今更「帰ります」とも言えずに、言われるまま、トータルエステを受け、ずっと伸ばし放題のヘアをセットしてもらい、用意された服に着替えさせられた。

　上品で美しいシャンパンレッドのワンピースドレスはスカート裾はレースの重なったバルーンタイプで、袖口にもたっぷりのレース。その美しい事……。お店のママさんに言われて着替えたあのブルーのドレスとは、上品さも質感も全く別世界のようだった。
　洋服に合わせてコーディネートした、スェードの可愛らしいパンプスと、サテンのミニバッグもとても素敵……。それに合わせてアクセサリーまで準備されてて……。
　何も言えない状態で、あれよあれよと言うまに着替えて、どうすればいいのか、戸惑うばかりだった。

　それから、またリムジンに乗せられて、付いた場所は高級フレンチレストラン……。正直言って、ここにたどり着くまでのプロセスに、すっかり疲れてしまい、食事はキャンセルして家に帰りたい心境だった。