最悪から始まった最高の恋
 身を固くして下からすくい見上げる彩菜の表情を見て、円城寺氏が苦笑した。

「なんかかなり警戒されてる感じだなぁ……。例の話を最初にしておかないと、食事も喉を通りませんって顔に書いてある……」

 彩菜はそうそう……。それですそれ!!という表情で、ウンウンと頷いた。

「じゃあ、あの日の事を話すけど……。本当に、何も無かったから……。興奮しないで落ち着いて、最後まで話しを聞いてくれよ」

「はい」

 相変わらず険しい表情を崩さずに、彩菜はこっくりと頷いた。
 円城寺氏は、あの日の出来事を思い返すような遠い目をして……。ちょっぴり面白い記憶を呼び起こすような、笑いを含んだような微妙な表情をしつつ……。あの日の事を話し始めた。

 それを、彩菜はドキドキのバクバク状態で、祈る様に膝の上で手を重ね合わせ、緊張の面持ちで集中しながら話しに耳を傾けた。
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