最悪から始まった最高の恋
――あの日の事……。
「君は、あの幻の銘酒『淡雪牡丹』をちびり……ちびりと凄く美味しそうに飲み始めて……。あの日は君は寡黙な感じでこちらが話し掛けないと話さないような雰囲気だったけれど……。更に聞いても返答が支離滅裂状態になってきて……。何だかおかしいなと君の顔を見れば、真っ赤な顔で目の焦点は合わず……。これは不味いと思って、『もうお酒を飲むのはそのへんにしておきなさい』と言おうと思ったら、私の肩にもたれ掛かり記憶を無くす様に眠ってしまっていた状態だったんだ」
その話しを聞いて、彩菜は酷く辻褄が合うと思った。――だって……あの日の記憶がまるでないから……。『あ〜やっちゃったわ!!』 とその事についての自覚はあった。
円城寺は、話しを続ける……。
「その後、お開きとなった時に、成田氏がなにやらママさんに耳打ちしてて、その後、君を抱きかかえ、お持ち帰りしようとしている様子だったので、『これはちょっと不味いかもしれないなぁ』と感じてね。『成田さん。この子は私が送り届けますから……』と言って、仕方なしにあの場から君を連れ出したんだ……。ご丁寧にママさんから事前に準備してあったのか、君の私物の入った紙バッグまで手渡されたよ」
その話しを聞いて、彩菜は、(ママさんは、初めからそのつもりだった訳?!)と、心の中が暗い雲に覆われた。
「君は、ホステス初めてですって感じで、見るからにド素人という雰囲気だし……。あの職業は向いてない気がしたし、このまま成田氏の毒牙にかかってしまうのも何故か可哀想な気にもなってね……」
円城寺さんは、溜息をついて困ったもんだ! という風に頭を振った。
「そ……それは、助けて頂いて、その事には感謝します。ですが……なんでっ……」
彩菜にはまだまだ納得出来ない事がある。何で私は何も着てなかったのか?! 思い出しただけで寒気がしてきて、恥ずかしすぎて体が火照ってくる。
「コラッ!! 話しを最後まで聞けって言っただろう」
「はいっ!!」
話の腰を折るなと言う感じに、やんわりと叱られ、彩菜はピクリと飛び上がり、素っ頓狂な声で返事をして、姿勢を正した。
「君をあの場所から連れ出したものの、酔っぱらって意識は無いし、君の家は分からないし……。仕方ないので近くのホテルを予約して、部屋のベッドに横たわらせてそのまま帰ろうと思ったら、君がいきなりむくりと起き上がって、『暑い……暑い……。何でこんなに暑いの? この服凄く苦しい』って言って、喚き始めて……。いきなりだよ!!」
なんだかとんでもない事件の核心をつくような雰囲気の、円城寺さんのその言い回しに、疚しいような、恐ろしいような、落ち着きを失ったような、微妙な感情が彩菜の中で沸き上ってきた。
「えっ?」
――まっ……まさか……。話しを聞いていて、彩菜は段々、嫌〜な予感がして来た。何となく、先の展開が想像出来そうな……。
「君は暑いと言って、あっという間にドレスを脱ぎ捨てて、ドレス用の下着(ビスチェ)も苦しいと言って、バッと抜き捨てて投げ飛ばして……」
――ひっ……。ひええええええ――――――っ!!
彩菜は心の中で叫んだ!!
「君は、あの幻の銘酒『淡雪牡丹』をちびり……ちびりと凄く美味しそうに飲み始めて……。あの日は君は寡黙な感じでこちらが話し掛けないと話さないような雰囲気だったけれど……。更に聞いても返答が支離滅裂状態になってきて……。何だかおかしいなと君の顔を見れば、真っ赤な顔で目の焦点は合わず……。これは不味いと思って、『もうお酒を飲むのはそのへんにしておきなさい』と言おうと思ったら、私の肩にもたれ掛かり記憶を無くす様に眠ってしまっていた状態だったんだ」
その話しを聞いて、彩菜は酷く辻褄が合うと思った。――だって……あの日の記憶がまるでないから……。『あ〜やっちゃったわ!!』 とその事についての自覚はあった。
円城寺は、話しを続ける……。
「その後、お開きとなった時に、成田氏がなにやらママさんに耳打ちしてて、その後、君を抱きかかえ、お持ち帰りしようとしている様子だったので、『これはちょっと不味いかもしれないなぁ』と感じてね。『成田さん。この子は私が送り届けますから……』と言って、仕方なしにあの場から君を連れ出したんだ……。ご丁寧にママさんから事前に準備してあったのか、君の私物の入った紙バッグまで手渡されたよ」
その話しを聞いて、彩菜は、(ママさんは、初めからそのつもりだった訳?!)と、心の中が暗い雲に覆われた。
「君は、ホステス初めてですって感じで、見るからにド素人という雰囲気だし……。あの職業は向いてない気がしたし、このまま成田氏の毒牙にかかってしまうのも何故か可哀想な気にもなってね……」
円城寺さんは、溜息をついて困ったもんだ! という風に頭を振った。
「そ……それは、助けて頂いて、その事には感謝します。ですが……なんでっ……」
彩菜にはまだまだ納得出来ない事がある。何で私は何も着てなかったのか?! 思い出しただけで寒気がしてきて、恥ずかしすぎて体が火照ってくる。
「コラッ!! 話しを最後まで聞けって言っただろう」
「はいっ!!」
話の腰を折るなと言う感じに、やんわりと叱られ、彩菜はピクリと飛び上がり、素っ頓狂な声で返事をして、姿勢を正した。
「君をあの場所から連れ出したものの、酔っぱらって意識は無いし、君の家は分からないし……。仕方ないので近くのホテルを予約して、部屋のベッドに横たわらせてそのまま帰ろうと思ったら、君がいきなりむくりと起き上がって、『暑い……暑い……。何でこんなに暑いの? この服凄く苦しい』って言って、喚き始めて……。いきなりだよ!!」
なんだかとんでもない事件の核心をつくような雰囲気の、円城寺さんのその言い回しに、疚しいような、恐ろしいような、落ち着きを失ったような、微妙な感情が彩菜の中で沸き上ってきた。
「えっ?」
――まっ……まさか……。話しを聞いていて、彩菜は段々、嫌〜な予感がして来た。何となく、先の展開が想像出来そうな……。
「君は暑いと言って、あっという間にドレスを脱ぎ捨てて、ドレス用の下着(ビスチェ)も苦しいと言って、バッと抜き捨てて投げ飛ばして……」
――ひっ……。ひええええええ――――――っ!!
彩菜は心の中で叫んだ!!